オンライン請求義務化の黒歴史
1. 導入背景:
• 2000年代初頭、日本政府は医療業務の効率化を図るため、診療報酬の請求を電子化する政策を推進しました。
• この政策の一環として、医療機関に対してレセプトのオンライン請求を義務化する方針が打ち出されました。
2. 義務化の試み:
• 当初、すべての医療機関が電子請求システムを導入することが求められました。
• 2008年4月からオンライン請求の義務化が開始され、多くの医療機関が対応を迫られました。
3. 問題点:
• 技術的課題: 小規模な医療機関ではシステム導入のコストや技術的な障壁が高く、対応が難しい状況がありました。
• 運用面の負担: 新しいシステムの操作に慣れるための教育や、既存システムとの互換性の問題が浮上しました。
• 反発: 多くの医療機関から義務化に対する反発や批判が噴出し、導入の難しさが指摘されました。
4. 義務化の撤回:
• これらの問題を受け、義務化に対する柔軟な対応が求められるようになりました。
• 結果として、義務化の方針は撤回され、医療機関が自主的にオンライン請求を導入する形に改められました。
オンライン請求の義務化
厚労省は2023年11月30日に請求命令(省令)を改正し、原則として医療機関が診療報酬を請求する方法をオンライン請求に限定した。
2024年4月以降、新規に指定される医療機関は、光ディスク等を用いた請求と紙レセプトによる請求を開始することはできなくなるが、3月まで光ディスク等や紙レセプトによる請求を行ってきた医療機関には猶予制度が設けられる。4月以降も従来通りの請求を行う場合は猶予届出等の提出が必要だ。
オンライン請求の通信方式
オンライン資格確認が出て来るまでは、オンライン請求の通信方式がよく問題になりました。
現在はオンライン資格確認端末で必ずオンライン請求は出来るので問題はオンライン資格確認の通信方式だと言えます。
しかしながら未だに過去のやり方を変えないでオンライン資格確認とオンライン請求を別の通信方式でやっている医療機関も存在します。
オルカVPN
IPsec+IKEを使った厚生労働省「レセプトのオンライン請求に係るセキュリティに関するガイドラインに準拠した実用的サービスでありネットワークの安全性については「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠している。
レセプトならびに特定健診におけるオンライン請求の利用に加えて、地域医療連携など他のセキュリティが確保されたネットワーク接続の利用も可能な拡張性を備えている。現在多くの利用者が一般的に使用しているインターネット環境をそのまま使用出来るので高い利便性を持っている。その為にオンライン請求用のパソコンを準備する必要がない場合がほとんどである。
IP-VPN
フレッツ光のようなプロバイダがNTT東日本や西日本の場合はIP-VPNが無料で使える場合がある。インターネットとは異なる閉域IP網を利用するもので、レセプトのオンライン請求に係る安全対策の規定で送信機器の設置場所やソフトウェアの管理では条件が厳しくなり、専用パソコンが必要になる場合が多いが無料である為に利用率は以外に高いようだ。
他にはISDNを用いる方法もある。ただ上記問題に加えて通信速度の問題もあるので実際に使用されている医療機関は少ないようだ。
オンライン請求のメリット
- 決められた時間内であれば何時でも送信可能でレセプトデータ受付時間は休日を含めて毎月5日から7日は8時から21時まで、8日から10日は8時から24時までとなっている。
- 受付・事務点検ASPを利用する事が出来て請求前に事前チェックをかけることが出来るので正確な請求が可能となっています。また請求可能な日付以外でも事前チェックを行う事が出来て月末・月初の作業をより軽減できます。
- 事前にチェックしてエラーが分かった場合は取り消しを行う事が出来て何度でも送り直す事が出来る。ただし、確定をしてしまった場合は後から誤りに気がついても、やり直しは出来ない。この場合は医療機関の方から取り下げ請求をして返戻にしてもらい次回にやり直す事は可能。
- 返戻データについてもオンライン請求可能であるが、都道府県によっては紙で返戻しなければならない場合も存在する。日医標準レセプトソフトは返戻データに対するオンライン請求にも対応しており、簡単に処理出来る。
- 安全性の確保 紙レセプト又は電子レセプトが記録された電子媒体を搬送する場合と比較すると安全性が確保されます。これは個人情報保護の観点からも推奨されるべきシステムの運用方法です。